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報道されておりますように、政府自民党内では現行の配偶者控除制度の見直し、縮小・廃止等が議論検討されています。当会は安易拙速な縮小や廃止の動きを憂慮し、以下の通り要望意見書をまとめ、自民党良識派議員の方へ送付させていただきましたので、参考にご紹介します。
「現在、政府自民党税制調査会では現行の配偶者控除制度の見直し、縮小や廃止を含めた検討が行われており、この3月に安倍首相が経済財政諮問会議・産業競争力会議の合同会議で検討を指示した旨報じられています。 周知の通りこの所得税配偶者控除については、以前より一部の識者特に左翼フェミニスト系人士から「女性の就労機会を奪う」「固定的役割分担のシステム」等の理由から廃止が主張され、民主党はその政権公約で廃止をうたっていましたが、最近になって消費増税に加えての更なる増税になるという理由で当面廃止を先送りしたようです。 配偶者控除制度は我国の家族政策・家計単位の税制システムとしての根幹であり、当会は以下の様々な理由や現状から、その安易拙速な見直しや縮小・廃止の動向に強い危惧を抱きこれに反対を表明し、政府におかれても慎重に対応されることを切に要望するものです。
○配偶者控除創設の目的は「専業主婦優遇促進」ではない 配偶者控除は昭和36年(1961)に、いわゆる人的控除として既存の扶養控除から独立した制度として発足しました。制度創設の主な理由は、自営業者(個人事業所得者)がその家族従業員への給料における必要経費として計上できる「専業従事者控除」創設と、当時の都市部等において急速に増加しつつあったいわゆるサラリーマン世帯とのバランス、自営業世帯との公平性を図る目的ということだったいわれています。すなわち現在一部で主張されているような「専業主婦家庭を優遇し固定的役割分担奨励」のような意図ではなかったということを、ここで再度認識検証すべきだと考えます。さらにこの配偶者控除やその後の配偶者特別控除の創設が女性のライフスタイルに大きな影響を与え、「固定的役割分担」による非就業化が加速した?等という明確なデータ等は現在まで存在しません。
○配偶者控除制度は家族尊重、家計単位システムの基本である 自民党は先の公約において、家族を守る立場・家計単位のシステムを守る立場から、配偶者控除の維持を公約として掲げていたものであり、私達自民党支持の者から見れば、公約違反であるという点からも、まず強く抗議をせざるを得ません。上述の配偶者控除創設の経緯にも関連しますが、そもそも配偶者控除とは、主婦が家庭内の仕事を担う者として、生計を一にする配偶者の所得から、主婦の必要経費として控除が認められているものだと了解しています。 ここから考えれば、配偶者控除が不要だということになれば、主婦という存在自体が社会的に認められないということになるのではないでしょうか。政府自民党は、主婦は必要無い、と主婦の存在を不要と切り捨てられるのでしょうか。主婦は、そうなれば社会に出て、何らかの仕事、賃労働に就かざるを得なくなるでしょう。 嘗ての社会主義国ソビエト連邦のように、国民は皆外で働かなければならないと考えておられるのでしょうか。これはすなわち、世帯単位の社会から個人単位社会への移行を意味します。これが、自民党の目指しておられる社会・国家なのでしょうか。民主党政権下での個人単位社会実現すなわち家族破壊政策を阻止し、家族の絆尊重を明確に志向した結果が自民党の本制度維持の公約であったはずです。 さらに懸念されるのは、法律婚の意義が薄れる可能性があるということです。夫婦それぞれが働き、それぞれが税金を納めるのならば、同棲しているカップルは、子供が産まれない限りは、結婚する意味も薄れてしまうのではないでしょうか。家族は社会や国の根幹をなす最も大切な最小単位の共同体です。特に日本は、天皇陛下を初めとして、先祖を祀り、先祖に感謝を捧げることで形成され、維持されてきた国家であります。そういう意味から、日本における「家族」というものは非常に重要なものであります。 配偶者控除の廃止を、経済政策等だけから見て廃止するようなことがあるならば、我が国の形、すなわち国柄そのものが一変してしまい、安倍首相の目指される「美しい日本」は根底から覆されることでしょう。政府自民党はその点を考えて、配偶者控除の廃止を検討されているということを自覚しているのでしょうか。これらのことから、配偶者控除の縮小・廃止には断固反対いたします。
○配偶者控除縮小・廃止は「女性の活用促進」にはつながらない 現行の配偶者控除制度は、配偶者(通常一般的には妻)の年収が103万円以下である場合には、夫は自己の年間所得から38万円を控除することが認められるものであり、すなわち家計単位としての所得税減税の制度ということです。換言すれば、妻の収入が年間で103万円を超える場合には配偶者控除が適用されず、夫の所得から38万円を控除することができず、所得税が増加することになります。 それでは、この配偶者控除制度の縮小や廃止で、本当に女性の活用や一層の社会進出が促進されるのでしょうか? この「女性の活用・社会進出」という表現から一般に想起されるのは、公共機関や民間企業等において男性と同等の条件のもとフルタイムで働き、男女共同参画施策でさかんに宣伝される「指導的地位」としての職域・ポストを目指すようないわゆるキャリア女性ですが、政府自民党は配偶者控除を廃止することで、いままでは年収103万円以下の収入で主婦パート等として家計を補助してきた多くの女性たちが急にこのようなキャリアウーマン志向に変わっていくとでも考えておられるのでしょうか? 配偶者控除は専業主婦の働き(現金化されないが立派な仕事をしている)やパート主婦(家事に差し支えない程度に働く)へのいわば「せめてもの配慮」ではないかと考えられるものであり、国から主婦に現金支給されるわけでもなく、上述の通り夫の収入にかかる税金を少なくするだけ、年収103万以下のパート主婦から所得税は取りませんよというだけです。 いわばこれだけの事ですから、「103万円の壁が女性の就労意欲を削ぐ」とか、ましてや「女性の社会進出を阻む」とか言うのは大袈裟、というより実体に即していないと言えましょう。 年収103万円というと1カ月8万5千円程度(85,000×12で年収102万円)の収入です。パートに出て、家計の足しになる位の収入を得て、家事にも差障りの無いように余力を残しておくような仕事の仕方です。そのような働き方を選択している女性に対し「配偶者控除を縮小、廃止するから、もっと働いた方がいいですよ」と言ったところで、生活パターンはそうそう変えられないと思いますし、いわば余計なおせっかいです。それよりも103万円の範囲内で家計のやりくりをし、控除も受けて家庭を守る生活をしている主婦は多いはずであり、控除を縮小や廃止されると困る人は多いでしょう。 したがって、もしこうした主婦層等に「一層の社会進出」を促すのであれば、逆にむしろ配偶者控除額を現在からさらに引き上げるのが効果的ではないでしょうか。仮に現行の103万円が150万円までに引き上げられれば、もっとパート勤務等を増やしても控除が適用されるので、より「社会進出」が実現することになるからです。 配偶者控除を縮小や廃止する=「女性の社会進出を促す」というのは実体に即していない「まやかし」です。このような「まやかし」がまかり通り始めると、述べましたように憂慮すべきは専業主婦軽視、配偶者の存在が配慮されないことです。 配偶者控除の創設はじめ現在の税制には、家族を重視するという前提があります。家族が社会を構成する最小単位とし、家族があってその1人1人の力が発揮できるのであり、家族の力が社会を支え、国を支えているという考えです。また、時間にゆとりのある主婦や定年退職した男性陣が、地域活動を支えて場合も多々あります。配偶者控除の縮小や廃止によって、こうした金銭では換算できないような働きに目を向けなくなる、そういった弊害も起きるのだと強く懸念します。
○配偶者控除廃止は女性の多様なライフスタイル尊重に逆行するものである 平成11年に男女共同参画社会基本法が制定されて以来今日まで、「男女共同参画社会」促進の名の下に常日頃から「女性の多様なライフスタイルの尊重」が言われております。 私達は各人が様々な家族の構成や各自それぞれの人生観があってより良いと思うものを日々選択しながら生活していること、多様なライフスタイルの尊重自体に反対するものではありません。 今年4月4日の産経新聞(神奈川版)に同県内の高校生を対象にした男女共同参画に関する意識調査を初めて行った記事が掲載されていました。県立高校5校2年生約1300人を対象に、昨年秋に県立かながわ女性センターが調査を実施したものです。見出しは「県内の高校生は保守的?」「母親は育児に専念」過半数というものです。いままでの日本人の伝統的育児形態が保守的?という見出し自体も否定的に聞こえるものですが、その一部をここで引用いたします。
『子供が小さい時は母親は育児に専念すべきと考える生徒の割合も過半数あり、調査結果によると、将来家庭を持った場合、家事の担い手について「妻」と考える生徒が58、3%特に女子の方が64,2%とその傾向が強かった。また「子供が3歳くらいまでは母親は育児に専念」と言う考えに対しては、肯定的な回答が59,6%。女子に限っては64,0%となり、育児も家事の担い手に関する意識と同様の傾向をしめした。ただ、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という役割分担に対しては、肯定的な回答が全体の21,0%だったのに対し否定的な回答は43,8%と上回った。女子の方が否定的な傾向がつよかった。同センターは「過去に男女共同参画の学習を受けた事がある生徒の方が男女共同参画の意識が高かった。今後さらに教育の機会を増やしていければ」とはなしている。』 (以上、一部引用抜粋)
紹介されている同県男女共同参画センターのコメントは、こうした結果が出たときに毎回聞くような内容ですがそれはさておきまして、高校2年生(17歳)の彼らは母親が共働きの家庭で育った経験を持った子供も多く居ると思います。その様な環境の中で、成長して振り返った時「母親は育児に専念すべき」と感じとっている事は、外に出て働くお母さんにとってかわり、政府や自治体が進める保育所を沢山作って細切れに育児を他人に代替えさせる事を決して子供の立場では良いと思っていないのではないでしょうか。こうした若い世代の思い、子供の気持ちを尊重する政策こそが大切なのではないでしょうか。また最近の調査では、結婚を望む9割の人々のうち、子供を3人は欲しいという人達も多いと聞きます。現代女性は、「2割がキャリア志向、6割が育児期は子育てに専念したい人、2割が専業主婦志向」と言われます。こうしたそれぞれの女性の志向、すなわち多様性を尊重する施策こそが考慮されるべきであり、いわれなき専業主婦バッシングは少子高齢化問題を解決しようとしている日本にとって「百害有って一利なし」だといえます。女性の多様なライフスタイルを尊重するからこそ、「専業主婦」が生み出す貢献度、すなわち年金保険料を納める将来の現役世代を生み育てる事であり、また家族が安らげる為の様々な気配りや家族への心のケアその他日本の家族をしっかりと守っている現状を正当に評価すべきです。そうしたライフスタイルを選択する女性への最低限の配慮が配偶者控除にほかなりません。 以上、政府自民党におかれては配偶者控除制度の家族政策としての本質を再度しっかりと認識され、くれぐれも拙速な縮小・廃止等の動きとならないよう切望するものです。」
(以上)
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既にご承知の通り、先般のいわゆる婚外子法定相続分の区別を「違憲」とした最高裁判決を受けて、現行非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条の規定に係る改正案が自民党法務部会の了承を得て、国会に提出されようとしています。 報道によれば、自民党内に家族の絆を守る特命委員会」を新たに設けるなどして、 配偶者を優遇する相続制度の導入など家族制度を維持する具体策を、1年をめどにまとめることを条件に改正案が了承されました。検討課題として (1)配偶者が自宅に住む権利を保護する。 (2)配偶者の相続割合を拡大し、結果として嫡出子への相続が婚外子に比べて多い現行の仕組みを残す。
等が挙げられているとのことですが、ここで(2)で挙げられている配偶者の相続割合の拡大について考察してみたいと思います。 我国民法における配偶者の法定相続分は昭和50年代に、それまでの配偶者3分の1:子3分の2から、現行の配偶者2分の1:子2分の1に改正されています。ですから、仮に夫婦とその間の子供2人家族で夫が亡くなると、妻と子が相続人となり妻が2分の1、そして子(嫡出子)はそれぞれ2分の1×2分の1=4分の1ずつが法定相続分となります。例えば相続財産が全部で6,000万円相当とすれば、妻は3,000万円、子2人はそれぞれ1,500万円ずつの法定相続分となります。ここでもしも子の一人が相続後に出現した非嫡出子、いわゆる婚外子である場合、現行規定では妻とその間の子(嫡出子)が3,000万円+2,000万円、非嫡出子が1,000万円となります。しかし、この法定相続分に係る区別の規定が撤廃されてしまうと嫡出子・非嫡出子ともに同じ1,500万円ずつとなります。ここで考えなければならないのが我国における一般的な相続財産の中身です。相続の対象となる財産には土地建物である不動産、いろいろな動産或いは預貯金等ですが、富裕な特権層でないごく一般の家庭ではその唯一大部分の財産が自宅、すなわち夫婦家族が協力して家計をやりくりし、ローンの返済を終えて残った住宅やマンション等がほとんどすべて、というケースが多いのではないでしょうか。この場合には、権利を主張してきた非嫡出子に対して、家族側がその相続分を金銭で支払い自宅に住み続けることになりますが、もし現行規定が撤廃されてしまったら、夫の他界後に突然出現してきた非嫡出子への遺産分割のために、自宅を売却して充てなければならないケースが増加すること、すなわち長年相続財産の形成に寄与してきた妻や子(嫡出子)の基本的な権利が脅かされてしまう可能性が高まってしまうことになります。こうしたことを防ぎ、家族の絆や権利を維持する代替案として、上記の(1)(2)が出てきたものと思われますが、ここで外国家族法規定、フランスの相続規定から配偶者・家族の保護についてみてみましょう。 フランスは我国と異なり、全出生数の半数以上がいわゆる婚外子であり圧倒的に高い比率となっていることはご承知だと思います。同国では2001年に法改正が行われ、嫡出子・非嫡出子の相続分の区別が撤廃されましたが、同時に配偶者・家族保護の規定を設けているようです。すなわち、配偶者の法定相続分は我国同様に2分の1ですが、これに加えて配偶者は残りの2分の1についても、子と同様に相続分が認められることになっています。具体的には妻と嫡出子と非嫡出子それぞれ一人ずつのケースで、妻は先ず配偶者としての2分の1を取得し、さらに残りの半分について二人の子と同等の権利を法定相続分として認められることになります。ですから上記相続財産が6,000万円なら妻が自身の2分の1と更に2分の1×3分の1である6分の1を加えた合計6分の4=3分の2が法定相続分となり、残りについて嫡出子・非嫡出子の区別なく6分の1ずつ相続するというものです。このように配偶者の権利を拡大することで、長い期間でみればその直系である嫡出子がその母の増加分6分の1をも相続することになり、結果として嫡出子・家族の権利が保護されることになります。 このフランス家族法の例でもいわば間接的に嫡出子の権利を保護できることになりますが、現在でも生まれてくる子の約98%が嫡出子であり、また最近の調査でも国民の多くは現行民法の「改正」を望んではいない我国の状況に鑑み、子が全て嫡出子の場合と非嫡出子がいる場合それぞれに対応する規定を考えるべきではないでしょうか。 すなわち、妻と子(嫡出子)が相続人である場合には現行法と同様に妻と子全部でそれぞれ2分の1ずつの法定相続分とし、別に非嫡出子がいる場合には、フランス等の場合と同様に配偶者に相続分を上乗せする形で、例えば妻3分の2、嫡出子・非嫡出子とも6分の1ずつとすることを検討してはいかがかと思われます。これにより、嫡出・非嫡出を問わず、法定相続分は「平等」を担保しつつ、多くの国民の意思である法律婚、家族重視の考えをもより明確に法文化することになるように思います。 十分な国民的議論もないままに拙速な「改正」などもってのほかですが、最悪でも家族保護のための規定を併存させるよう、これからも働きかけていくことが必要です。
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林道義先生が、婚外子裁判について、見解を示されましたので、ご紹介します。 林先生のHPからの転載です。
林先生 「寸評」のページより http://www007.upp.so-net.ne.jp/rindou/sunpyo.html
平成25年10月16日 婚外子「差別」について 去る9月4日、最高裁大法廷において、「嫡出子と婚外子の相続分が二対一と定めた現行民法の規定は、法のもとの平等を謳う憲法に違反する」という趣旨の判決を下した。これを聞いて私は一驚し、かつ慨嘆した。日本の司法はここまで堕落したのかと。なぜなら、この判決は、法律家としてはあってはならない論理性の欠如を示しているからである。 「法のもとの平等」に反すると結論するためには、「平等」の意味を明確に定義しておかなくてはならない。しかしこの判決にはそのような定義はどこにも書かれていない。これは論理性の欠如以外の何ものでもない。 「平等」には大きく分けて、「形式的平等」と「実質的平等」とがある。「平等に反する差別である」と言いたいならば、このどちらの平等に反しているのかを明言しなければならない。 「形式的平等」とは、一人ひとりの年齢、性別、能力、境遇等に関係なく、ただ機械的に同額を支給するといった原理の平等観念である。それに対して「実質的平等」とは、一人ずつの状況を勘案して、支給額を変える、それこそが真の平等だと考える原理である。 今回の最高裁の判決が「形式的平等」の平等概念に立っていることは明らかである。すなわち、嫡出子も非嫡出子もその境遇を子供自身は選ぶことができないのであるから、一律に同等の相続権を持つ、したがって「本件規定」(非嫡出子の相続分を嫡出子の二分の一とする)は「法の下の平等」を定めた憲法14条1項に違反し無効である、と結論しているからである。 もちろん判決文はそう単純にこの結論を出しているわけではないので、ここで判決文の論理を簡潔に辿ってみよう。 曰く、嫡出子と非嫡出子の区別に関しては、その国の伝統、社会事情、国民感情などのほか、家族というものをどう考えるかなど、さまざまなことを総合的に判断して決めなければならない。その上で、この区別に合理的根拠が認められない場合には、この区別は憲法に違反すると解すべきである。 我が国は長いあいだ法律婚主義をとってきたが、それを含めてさまざまな事情も「時代と共に変遷する」ものであるから、「個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味されなければならない」。 さて「時代と共に変遷」した第一のものは、家族形態の多様化と、それにまつわる国民意識の変化である。すなわち「婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに伴い、婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きくすすんでいる」(註1)。また第二のものは、この問題にまつわる国際社会の事情や意識の変化である。世界の趨勢として、嫡出子と非嫡出子の相続分に関する「差別」が撤廃されており、「そこに差異を設けている国は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある」。 これを要するに、世の趨勢・時代の趨勢は、嫡出子と非嫡出子とのあいだの区別をなくす方向にある。よってこの区別をなくすべきである。これが結論である。見てのとおり、いろいろと論理を尽くして考察した上での結論のように見せかけているが、結局のところ、世間の趨勢を事細かに証明して、それが形式的平等の方向に行っているから、それに従うべきだと言っているにすぎない。 しかし、その際、この案件ではなぜ「形式的平等」の原理を基準にして考えなければならないのか、なぜ「実質的平等」の原理を捨ててよいのかという原理的理由については述べられていない。唯一の理由として挙げられているのは、それが国内的にも国際的にも「世の趨勢」だということだけである。これだけが、嫡出子と非嫡出子の区別を一切なくしてしまう「形式的平等」を選んだ根拠とされる。 しかしながら、嫡出子と婚外子の相続の多寡を、このように形式的機械的に考えるべきものではあるまい。嫡出子と婚外子の関係は、具体的状況のあり方によって千差万別であり、それに応じて両者の相続分の割合も変わってくるはずである。また正規の婚姻による家族形態を守るべきだと考える人々から見たら、当然嫡出子と婚外子との間に区別をもうけるぺきだと考えられるであろう。 私は日本の家族形態は世界に類を見ない美しいものであって、断固として守るべきものだと考えている。世界の趨勢がどうあろうと、それに逆らってでも、守る価値があると考えている。司法は価値中立でなければならないから、そのような価値判断をしてはならない、と反論する人がいるかもしれない。しかし「時代の趨勢に従うべきだ」という判断もまた一つの価値判断である。どちらも価値判断である点に違いはないのである。 正規の婚姻による一夫一婦制という、先進国のあいだでは日本にのみ残されている貴重な形態を守るためには、形式的平等ではなく実質的平等の原理によらなければならないことは、見やすい道理である。 ただし、実際の場合には、ケースごとに嫡出子と婚外子の相続の割合を、二対一にすべきか、三対一にすべきか、四対一にすべきか、それとも四対三にすべきか等と決めることは、あまりにも煩雑であり、実際にはまず不可能であろう。そこで現行民法はやむを得ぬ妥協点として二対一と定めたのである。 こう考えてみると、この度の最高裁の判決は根本的な誤りを犯していると言わざるをえない。この判決を金科玉条にして、現行民法を変更するなどということは、絶対にあってはらない。 註1 この認識自体がそもそも間違っている。婚外子の割合は1995年の1.2%から2011年は 2.2%、たった1%増えただけである。シングルマザーの割合は1.6%(平成23年国民生活基礎調査)にすぎない。スウェーデンやフランスでは、婚外子の割合が50%を超えていることと比較すれば、「著しく多様化して」いるなどとは、決して言えないのである。 また「国民の意識」についても、偏りがちなNHKの「解説」でさえ 内閣府の世論調査では、「婚外子というだけで法律上不利益な扱いをしてはならない」と考える人は、96年当時の55%から、去年は61% に増えています。 一方で、「法律上の結婚を保護するために は、不利益な扱いがあってもやむを得ない」と答えた人は、22%から 15%に減りました。この結果からは、少しずつですが、家族観に変化が生じてきているよう に思えます。 と控えめに書いている。「大きくすすんでいる」などと大袈裟な言い方はしていない。 しかも、同じ世論調査によれば(NHKは無視しているが)、 「現在の制度を変えない方がよい」は35.6%, 「相続できる金額を同じにすべきである」は 25.8%,「どちらともいえない」は34.8%となっており、現在の家族制度を支持する人の方が相当に多い。 前回の調査結果と比較して見ると,「現在の制度を変えない方がよ い」(41.1%→35.6%)と答えた者の割合がやや低下し,「ど ちらともいえない」(31.2%→34.8%)と答えた者の割合がやや上昇, 「同額にすべき」(24,5%→25,8%)は微増。 http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-kazoku/2-5.html このように、大騒ぎするほどには家族は多様化しておらず、家族観にも大きな変化はみられ ない。家族が「著しく多様化」しているという最高裁大法廷の判決は、重大な事実誤認をしていると言うべきである。 ただし、私の主張は、この点に関する事実認識がどうあろうとも、その趨勢に逆らってでも家族制度を守るべきだという趣旨なので、この問題についての指摘を「註」として述べた。 註2 なお、この問題については、本ホームページの「家族」「1 フェミニスト家族論の批判 (4)非嫡出子の区別は正当なり」で詳しく論評しています。是非ご覧ください。
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非嫡出子相続に関する「民法改正」について、絶対に反対しなければ、夫婦別姓法案まで持ち出されてきて、日本における家族の価値は低下し、法律婚は意味がなくなり、国家社会は土台から崩壊してしまいます。 日本にとっては、日本の形を崩壊させる大変な危機だと受け止めております。
そこで、下記に、「民法改正」反対の意見を送るべき連絡先、過去の経緯から私が反対して下さりそうだと思う議員の先生方の連絡先を一覧にしました。
政府執行部に対しては違憲を述べて頂き、「民法改正」反対の先生方には、激励支援を送りましょう。
また、参考になるブログやご意見などを一番下にリンク、コピーしております。 これらをご参考に、是非、反対の意見をお送りくださいますよう、伏して、お願い申し上げます。
首相官邸意見フォーム https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
谷垣法相への連絡先 意見フォーム http://tanigaki-s.net/inq.php ファクス 03-3597-2707 電話 03-3508-7012
石破幹事長 ファクス 03-3502-5174 電話 03-3508-7525
菅官房長官 意見フォーム http://www.sugayoshihide.gr.jp/mail.html ファクス 03-3597-0895 電話 03-3508-7446
高市早苗政調会長 電話 03-3508-7199 ファクス 03-3508-7198
野田聖子総務会長 電話 03-3508-7161 ファクス 03-3591-2143
自民党 意見フォーム https://ssl.jimin.jp/m/contact 電話 03-3581-6211 (代) ファックス 03-5511-8855
●自民党内で反対して下さりそうな議員さん達(あいうえお順) 赤池誠章議員 電話 03-6550-0524 ファックス 03-6551-0524
麻生太郎副総理大臣 電話 03-3581-5111
有村治子議員 電話 03-6550-1015 ファックス 03-6551-1015 電子メール:haruko@arimura.tv
磯崎陽輔議員 メール isozaki-y@dune.ocn.ne.jp 電話 03(6550)1004 ファクス 097(536)1222
稲田朋美内閣特命担当大臣 電話 03-3508-7035 ファックス 03-3508-3835
伊吹文明議員 電話 03-3508-7615 ファクス 03-3502-5382
宇都隆史議員 電話:03-6550-0516 ファクス:03-6551-0516 メール supporters@utotakashi.jp
衛藤せいいち議員 電話 03-6550-1216 ファックス 03-6551-1216
城内実議員 電話, 03-3508-7441 FAX, 03-3508-3921
鴻池 祥肇議員 電話, 03-6550-1001 FAX, 03-3502-7009
佐藤正久議員 意見フォーム https://hige-sato.jp/contact/mail_form.html TEL.03-6550-0705 FAX.03-6551-0705
山東 昭子議員 電話, 03-6550-0310, FAX, 03-6551-0310
下村 博文文部科学大臣 電話:03-3508-7084 FAX:03-3597-2772
新藤 義孝総務大臣 電話, 03-3508-7313 FAX, 03-3508-3313
中川 郁子議員 意見フォーム http://nakagawa-yuko.jp/office/
中曽根 弘文議員 電話:03-3581-3111 FAX:03-3592-2424
西川京子議員 電話 03-3508-7115 ファックス 03-3508-3050
西田昇司議員 電話 03-6550-1110 ファックス 03-3502-8897
西村 康稔議員 電話03-3508-7101 FAX 03-3508-3401 メール office@yasutoshi.jp.
萩生田 光一議員 メール hagiuda@ko-1.jp 電話 03-3508-7633
橋本 聖子議員 電話, 03-6550-0803 FAX, 03-6551-0803
平沢 勝栄議員 電話, 03-3508-7257 FAX, 03-3508-3527
古川 禎久議員 電話, 03-3508-7612 FAX, 03-3506-2503
古屋 圭司国家公安委員会委員長 電話, 03-3508-7440 FAX, 03-3592-9040
牧原 秀樹議員 TEL 03-3508-7254 FAX 03-3508-3524
丸川 珠代議員 電話:03-6550-0902 FAX :03-6551-0902
山谷えり子議員 TEL:03-6550-1107 FAX:03-6551-1107
義家 弘介議員 TEL 03-3508-7241 FAX 03-3508-3511
上野通子議員 電話, 03-6550-0918 FAX, 03-6551-0918.
星野剛士議員 TEL:03-3508-7413 FAX:3-3508-3893
前田一男議員 意見フォーム http://www.maedakazuo.jp/inquiry/ Fax:0138-34-2404
清水誠一議員 TEL 03(3508)7517 FAX 03(3508)3947
北村経夫議員 info@tsuneo-kitamura.jp TEL. 03-5212-1740
木原稔衆議院議員 意見フォーム http://kiharaminoru.jp/modules/liaise/index.php?form_id=2
●参考資料
◇長谷川三千子・埼玉大学名誉教授(哲学)の話「今回の問題は、ただ機械的に憲法 14条1項をあてはめて、この相続規定は生まれによる差別を含んでいるから違憲、 と片づけて済むものではない。法廷意見に述べられている通り、『相続制度はそれぞ れの国の伝統、社会事情、国民感情なども考慮されなければならず、婚姻ないし親子 関係に対する規律、国民の意識等を離れて』定めることはできない。わが国では今も 『法律婚を尊重する意識は幅広く浸透している』と法廷意見は認めている。それなの に、なぜ違憲判断となるのか。法廷意見には国連の委員会がわが国の戸籍と相続の規 定に対し、いわゆる絶対的平等主義の立場から執拗(しつよう)な法改正勧告を繰り 返してきたことも記されている。今回の違憲判断はまさに『法の賢慮』が平等原理主 義に敗れ去ったと言うべきではないか」
元衆院議員 川条しかさんのブログ http://blog.goo.ne.jp/kawajo1
「函館市の子どもの権利条例を考える」ブログ http://kodomo-hakodate.at.webry.info/
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家族の絆を守る会の岡本明子です。 とてもショックなニュースが報道されました。
「婚外子相続差別は違憲」と、最高裁大法廷が判断を下しました。 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0401A_U3A900C1000000/
NHKニュースでは、谷垣法務大臣が、早速民法の見直しを検討しなければならないとコメントしました。 また菅義偉官房長官も、「『判断内容を十分精査したうえで、立法的な手当てというのは当然だろう』と述べ、民法改正を検討する意向を表明した」とのことです。 http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY201309040294.html
婚外子の相続を、正当な結婚した夫婦の間の子供と同じにすることは、我が国の家族制度を根底から崩す、日本にとって、重大な意味を持つ問題です。 また、この問題は、「民法改正」問題として、選択的夫婦別姓とセットで論じられ、政治の場でも何度も「改正」の危機がありました。
この最高裁判断について、法務大臣と官房長官が上記の発言を行ったことは重大な危機と捉えなければなりません。 「民法改正」が行われれば、結婚制度や家族制度に混乱を来すことになります。ひいては我が国の根底を内から揺るがすことになります。
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