国連通信第35号
国連通信第35号が7月15日に届きました。 今回の国連通信は、とても興味深く大事な内容です。 世界家族政策フォーラムというものが、毎年開催されていることが分かりました。ここでは、貴重な内容が報告されたり論議されているようです。このフォーラムには、国連関係者も多数参加しているようです。 「世界家族政策フォーラムが、発展と開発のために家族を大切にするよう国連に要求」 国連関係者の全ての人が、家族や胎児を嫌っているとは限らないということを知って頂きたいと思います。事実、プロ-ファミリー、プロ-ライフ側は、国連の官僚だけでなく国連で本当の力を有する国連総会にも、多くの仲間がいるのです。今日は、ブリガムヤング大学とWorld Family Policy Center(家族政策センター)が国連総会の外交官達を招いて開催した、年次会議の重要な内容について報告します。 今週、世界中から集まった学者、専門家達は、開発を達成しようとする場合に、政府が家族政策を無視することは危険であると、国連の代表者たちに警告しました。国連の代表達は、ブリガムヤング大学とWorld Family Policy Center(世界家族政策センター)が主催した*World Family Policy Forum(世界家族政策フォーラム)に参加しました。 World Family Policy ForumのURL http://www.worldfamilypolicy.org/forum_2007.html Catholic University of America(アメリカカトリック大学)のマリア・ソフィア・アギーレ博士は、次のような論文を発表しました。「健康な家族は国にとって不可欠である。家族は、人間、モラル、社会資本に直接的影響を及ぼし、それが資源活用、経済活動、経済構造にも影響を与える。」 アギーレの研究は、家庭崩壊による二つの経済的帰結を強調しています。女性の虐待は、普通の形ではない家族に生じる可能性は、(普通の家族形態に比べて)約25倍である。家庭内暴力を経験した人間は、自らの妻や子供を虐待する可能性が約3倍である。破綻した家族の中にいる女性と子供は、貧困である可能性が高い。家族の崩壊は、政府に社会福祉予算を増加させざるを得なくさせるのです。 アギーレは、カナダ、グアテマラ、アメリカ合衆国という、全く異なる政治形態のもとにある3カ国で、富と家族構成の関係を研究しました。そして、全面的に、安定した結婚をして両親の揃っている家族は、富、貯蓄、財産の点で、他よりもずっと良好な経済状態にあることが分かりました。 他にも会議で話した人達は、離婚の影響、険悪な状態にある家族、子育てにおける父の関与の不足、そしてその子供への負の影響、結婚する人の数の低下、急降下している出産数というような、家族崩壊の様々な社会的意味合いを強調しました。 カタールのドーハからは、World Family Policy Center(世界家族政策センター)創始者のリチャード・ウィルキンズ教授が、衛星中継で講演を行ないました。ウィルキンズ教授は、次のように推測を下しました。「家族は重要であるにもかかわらず、個人的にも、学術的にも、民間においても、政府においても、家族に優しい世界を思い描くことも創ろうともしていない。安定した機能的な家族は、人間の苦痛を減らし、それを無くすことさえ出来るという、重要な実質的証拠があるのです。だから悲しみはなくならないのです。世界は、家族を強くする政策を必要としています。」 World Family Policy Forum(世界家族政策フォーラム)は、国際的な家族政策問題に焦点をあてて、それに関係する国連関係者、オピニオン・リーダー、学者の年次大会を行なうために、1999年に設立されたものです。参加者は家族、国連、人権、結婚、ジェンダー、子供の権利、国家主権などの話題について、現在起こっている問題について議論するものです。多くの上級国連官僚も、毎年参加しています。 世界家族政策フォーラムへの国連の代表や初めての参加者は、「この会議は、国連に持ち帰るべき情報を私に提供してくれている。そして、私の国で、私達が政策の議論をするときに、まず初めに家族を論じるべきであるという裏づけをくれるものです。」とフライデイファクスに伝えました。 スポンサーサイト
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国連通信第34号
2007年7月5日 「保守的堕胎禁止法を成立させたニカラグアに対して、開発援助を打ち切ると脅しているオランダ政府」 驚くべきことに、金持ち国家であるオランダ政府が、貧しい小国ニカラグアを、堕胎問題に関連して開発援助を断つと脅しています。最近ニカラグア国会は、あらゆる堕胎を罪とすると満場一致で決定しました。それでオランダは開発援助を止めるかもしれないと言ったのです。 オランダ開発省大臣Bert Koendersは、ニカラグアが堕胎禁止法を自由化しなければ、ニカラグアが必要としている沢山の開発援助を取消すかもしれないと、ニカラグア政府に伝えました。 (1) 昨年10月、ニカラグア国会は、堕胎を全面禁止する法律改正を満場一致で決めました。 (2)投票に先立って、国連児童基金(ユニセフ)、国連人口基金(UNFPA)を含む、国連官僚および各国代表らの連合は、ニカラグア国会での法律改正を止めさせようとしました。 (3) この法律が成立して以来、ニカラグア政府は、世界中の堕胎支持急進論者達からの圧力を受ける被害者になっています。今年1月、女子差別撤廃委員会は、罰則を伴わない堕胎法」を再検討するよう、ニカラグアに命じました。 Human Rights Watch(*)は、ニカラグアの堕胎禁止は国際文書に反すると訴えて、ニカラグアの堕胎禁止法への法的抗議を開始しました。ニカラグアの高等裁判所は、今後数か月のうちに、この問題での判断を下すと思われます。 *NGOのようです。サイトは、http://www.hrw.org/ ニカラグアは、その生命尊重、堕胎反対の憲法や法律を守ると、国連で繰り返し発言しました。障害者条約のような他の国連会議と同様、カイロ会議、北京会議でも、ニカラグア代表団は、妊娠の瞬間からの生命の権利を守り、どんな堕胎も、産児制限を調節する方法だと見なすことはできないと述べました。又ニカラグアは、「『堕胎』を管理する国内法は、ニカラグア国家の主権の範囲内にある」と述べました。 家族と命に関する保守的立場を取るがゆえに、ニカラグアが援助に関して脅しをかけられたのは、これが初めてではありません。2000年には、スカンジナビアの議員達が、ハリケーンで破壊されて多くの財政援助を必要とするニカラグアを、援助を与えないと脅しました。数人のスカンジナビアの大使達は、堕胎、同性愛のカップルを含めての家族の再定義、生物学的区別に代えて「社会構築された」という意味のジェンダーの再定義について抵抗する政府の保守的立場をニカラグアの議員Max Padillaが代表しているがゆえに、激しく非難しました。ジェンダーの定義変更に対して拒否するPadillaは、放逐されてしまいました。 「医学的に堕胎を必要としても、ニカラグアにおいては、それはまだ不法なままであり、そのことが女性を死に至らせる。私達は、これは完全に承諾しがたいと強調すべきだと思う」と、KoendersはDutch Platform of Millennium Goalsに伝えました。彼は続けて、「私は、ニカラグアへの援助を直ぐに取り消したくはないが、我々はこの問題を考えてみたい。」と述べました。 英国のMEP(欧州議会議員)である、Nirj Devaは、フライデイファクスに、こう伝えました。「最近起こった、堕胎禁止を理由にニカラグアへの財政援助を取消すというオランダの脅しはEUが率先したものではなく、EUの一加盟国だけのことです。」Deva氏は、「これは、この問題に対するEU総体の立場を反映していません」と付け加えました。 (1) オランダという国(文化) オランダは、他国で思想・信条を理由として迫害された人々を受け入れることで繁栄していたため、現在でもさまざまな文化に対して寛容な態度を取ってきました。ただ、移民による事件が頻発しているため、移民対策も講じています。 麻薬、安楽死がいくつかの欧州諸国とともに合法化されています。 1991年には刑法が改正され、16歳以上でポルノ出演、性行為が適法とされ、互いの同意があれば適法となりました。国の許可を得れば管理売春も合法であります。このようなことから、世界有数の性の解放区として知られているものの、性犯罪をすれば容赦なく逮捕されることには他国となんら変わりがないため、自由な一方で自己責任で行動しなくてはならない国と言えそうです。 (フリー百科事典『ウィキペディア』を参考。一部引用) オランダの援助政策(ニカラグアとの関係) オランダでは毎年、貧困の削減のために国民総生産(GNP)の0.8%を開発協力に支出しています。支出の半分は、もっとも厳しい貧困にあえぐアフリカに送られます。 またオランダは、人権と、雇用と収入を増進させる良好なビジネス環境に重きを置いて、36のパートナー国で実施されている、望ましい統治を実現するためのイニシアチブを支援しています。これは、教育、HIV/AIDS、水、環境、リプロダクティブ・ヘルス(生殖に関する健康)の分野におけるオランダの努力の基礎となっています。パートナー国の支援は二国間援助となっています。そのパートナー国36カ国の1国がニカラグアなのです。 (http://www.oranda.or.jp/index/english/printing.php?id=190を参照) ニカラグア国会が、堕胎を全面禁止したことは、オランダの考える“望ましい統治”(性的に解放された国、リプロダクティブ・ヘルスの重視など)には合致せず、よってパートナー支援するには当たらないとしたのではないか、と予想されます。 (2) ニカラグアは国民の85%がカソリックであり(15%がプロテスタント)、生命尊重の念に厚い国で、胎児においても同様の思いを強く持っているようです。 ニカラグア国会は、2007年10月23日、治療的流産を合法とする1893年の刑法第165条を廃止する法案を可決しました。 (3) 2006年10月31日の国連通信(C-FAM通信)を参照 (http://1st.geocities.jp/wcf_japan/cfam.htm ) |
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国連通信を掲載するにあたって
ここでご紹介する「国連通信」は、C-FAMというNGOが毎週配信している国連情報メール通信のことです。 C-FAMはWorld Congress of Families(WCF:世界家族会議)に参加している団体の一つで、1995年に開催された北京会議直後から毎週金曜日にフライデイファクスというメール通信を配信し続けているNGOです。 (WCFとは、家族擁護・生命尊重を掲げる「プロ-ファミリー」「プロ-ライフ」の立場に立つ政治家・学者・NGOの人々が3年に一度集まる会議のこと。今年はポーランド・ワルシャワで第4回WCFが開催されました) C-FAMの配信する記事は、主に国連経済社会理事会で起きている出来事、各人権条約のもとに置かれた批准国を監視する委員会(女子差別撤廃〈=CEDAW〉委員会など)の動き(その横暴ぶり)を逐一伝える貴重な情報源です。 今後、当ブログで毎週掲載する予定の国連通信は、このC-FAMのメール通信フライデイファクスを和訳したものです。 和訳は昨年の10月7日付けのものから始まり、今年7月5日付けのもので第34号を数えています。 第1号から掲載はこちら→ http://1st.geocities.jp/wcf_japan/cfam.htm 日本は国連信仰の強い国ですが、実際に国連内部で行われていることを知り、その中でも家族の絆を守るべく闘っている人々について認識を深めていくことが大切なのではないかと思います。 この国連通信を通して、皆様と日本の家族を守るにはどうしたらよいか、考えていけたらと思います。 |
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